Vol15自宅でできるかぜ予防

どうしてひくの?
かぜの原因とメカニズム

 一般に「かぜ」と呼ばれる病気は正式には「かぜ症候群」といい、鼻からのどまでの上気道を中心とする部分が、ウイルスや細菌に感染して急激に発症する炎症の総称です。
 一人が1年間にかぜをひく回数は平均5〜7回といわれています。非常に身近な病気のため軽視しがちですが、「かぜは万病のもと」といわれるように重症化したり、合併症を引き起こすことがあるので決してあなどってはいけません。
 かぜの原因の80〜90%はウイルスの感染です。その種類は200以上にのぼるといわれ、その一つにインフルエンザウイルスがあります。
 口や鼻から入ったウイルスは、鼻やのどの粘膜で増殖します。すると体の防御反応が働き炎症を起こします。その刺激が脳に伝わり、咳やくしゃみ、鼻水などでウイルスを体外に追い出そうとします。これらもまた、体の防御反応です。

十分な休養と睡眠で
早めに治そう

 かぜは通常、安静にしておけば1週間程度で治ります。ただし、無理をしたり、きちんと治さないままでいると思わぬ病気を合併することがあるので注意が必要です。
 かぜを早く治すには、体の防御機能を高めることが重要。十分に栄養と休養、睡眠を摂るようにしましょう。
 インフルエンザウイルスを含め、ほとんどのかぜのウイルスは低温で乾燥した環境を好みます。部屋の温度を20度くらいを目安に暖かくするとともに、加湿器などを利用して湿度を50〜60%に保つようにしましょう。適切な湿度は鼻やのどの粘膜の乾燥防止にもなります。
 熱が出ると普段よりも多くの汗が出て、体内の水分が不足しがち。そんなときは水やお茶などで水分補給をしましょう。スポーツドリンクなら、汗とともに失われたナトリウムなどの電解質も補えます。
 咳やくしゃみもそうですが、発熱もまた、ウイルスなど異物に対する体の防御反応です。体内の温度が上昇すれば、ウイルスは増殖しにくくなります。したがって、解熱剤などで無理に下げることはあまり望ましくありません。解熱剤を使用する場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
 かぜをひいたときは、外出はできるだけ避けます。どうしても外出しなければならないときは、咳エチケットを守り、ほかの人にうつさない配慮も必要です。具体的には「くしゃみや咳をするときは、ティッシュや服の袖などで口や鼻を覆い、ほかの人から顔をそむける」「使ったティッシュはすぐにごみ箱に捨てる」「マスクを着用する」などです。
  • ひき始めが肝心!かぜを早く治すポイント ・体を冷やさない:ウイルスが好きな体温は35〜36度。発熱によりウイルスに対抗する免疫が活発になります。 ・熱を無理に抑えない:発熱は防衛反応なので、解熱剤などで無理に抑えないようにしましょう。 ・きちんと食事:体を温める温野菜など、しっかり食べて体力をつけましょう。 ・体を休める:症状を抑えて無理をするのではなく、きちんと休むことが回復への近道です。 ・水分を摂る:汗などで水分が出てしまうので、スポーツドリンクなどで補給をしましょう。 ・そのほかにも:帰宅後はうがいと手洗いを。外出するときはマスク着用で咳エチケット。部屋の温度を保つ。

運動や栄養など
普段から体づくりを

 風邪を予防するには、ウイルスを体内に入れないこと。それにはうがいと手洗いが欠かせません。外出から帰ったときはもちろん、家にいても頻繁に行うように心がけましょう。手洗いをするときには必ず石けんを使い、少なくとも15秒以上の時間をかけましょう。手首や指先、爪の間も念入りに洗うことを忘れずに。
 また、日頃から適度な運動や栄養バランスの取れた食事などで、かぜを寄せつけない体づくりをしておくことも大切です。例えばビタミンCは免疫力を高めることがわかっています。柿やみかん、いちご、レモン、キウイフルーツ、ほうれん草や小松菜、水菜など、ビタミンCを多く含むフルーツや野菜などを積極的に摂るとよいでしょう。

〜予防、症状緩和におすすめな食べ物〜 しょうが、ねぎ:発熱・殺菌作用のあるしょうがやねぎは鍋物や薬味にぴったりです。 ほうれん草:ほうれん草はのぼせ、頭痛、めまいに効果的。ゆでてごま油で炒めるとおいしくいただけます。 はつみつ大根ドリンク:約50ccの大根おろしに、はちみつや黒砂糖などを加えてドリンクにしましょう。 柿、みかん、いちご、レモン、キウイフルーツ:ビタミンCが豊富なフルーツは普段から食べることを習慣づけましょう。いちごは冷凍してもおいしくいただけます。 しょうがみかんドリンク:みかんを網でじっくり焼いて実を絞り、すりおろしたしょうがを加えて飲みましょう。