Vol4つよい歯を保って健康な毎日を送る!

口の中を清潔に保って
虫歯や歯周病を防ぐ

図表  何歳になっても、つよくて丈夫な自分の歯で、食べ物をおいしくいただきたいものです。厚生労働省と日本歯科医師会では、「80歳で自分の歯を20本以上残そう」という「8020(ハチマルニーマル)運動」を進めています。これは、自分の歯が少なくとも20本以上保たれていれば、ほとんどの食品を食べるのに、とくに差し支えないということが背景になっています。現在、ほかの先進国ではこの目標がおおむね達成されていますが、日本では80歳の平均残存歯数は約5本しかありません。
 自分の歯を残すためには、虫歯や歯周病を防ぐことがもっとも大切です。虫歯や歯周病の原因は、食べかすや歯垢(しこう)にすみついた虫歯菌、歯周病菌ですから、丈夫な歯を残すためにも、毎日ブラッシングして口の中を清潔に保つように心がけましょう。

正しいブラッシングを
身につけよう

健康な歯を保つためのポイント ポイント(1)正しいブラッシングの方法を身につけ、歯垢を取り除き、口の中をいつも清潔にします。 ポイント(2)歯間ブラシやデンタルフロスなどのフロッシング・ツール、洗口剤などを上手に取り入れて、ブラッシングを補助します。 ポイント(3)専門の歯科医に、虫歯や歯石を定期的にチェックしてもらいます。かかりつけの歯科医院を持って歯の健康管理を! 毎日の積み重ねが大事なんだね  ブラッシングは、正しい磨き方をしないと効果がありません。歯ブラシの使い方の基本は、細かく、小刻みに動かすこと。あまり強くブラッシングすると、歯茎を傷めるので「軽く、やさしく」がコツです。
 歯の表側と裏側、前歯と奥歯など場所ごとに、歯ブラシの握り方や磨き方を変えるようにします。歯と歯茎の間には歯垢がたまりやすいので、汚れをかき出すように、とくに念入りにブラッシングするように心がけましょう。
 歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落ちない場合があります。そんなときには、ピックや細い糸のついたフロッシング・ツールがおすすめです。ただし、上手に使わないと歯茎などを傷めることもあるので、自分に合ったものを選んで使うようにしましょう。また、ブラッシングの仕上げに口をゆすぐ洗口剤を利用するのも虫歯予防や歯周病に効果的です。
 このほか、キシリトールが入っているガムを利用する手もあります。虫歯は、ミュータンス菌という菌が糖を分解・発酵させてつくりだす酸が、歯のエナメル質を溶かすことによってできます。
 キシリトールは、ミュータンス菌に分解されないうえ、エナメル質の再石灰化を促す効果があるため、ガムなどで長時間口の中にとどめておけば、虫歯予防に効果的です。ただし、キシリトール入りガムの中に、虫歯をつくる糖類などがほかに入っていないかチェックが必要です。
 虫歯や歯周病のチェック、さらには正しいブラッシングやフロッシングを身につけるためにも、歯科医師に指導を受けるようにしましょう。定期的に診断を受けられる、かかりつけ歯科医院を持つとよいでしょう。

丈夫な歯は
すべての健康のもと

 つよい歯は健康の源です。しっかり食べ物を噛むと、唾液に混じっているアミラーゼの働きで体内の消化吸収を促します。また、噛むことによって、上下の顎(あご)の骨や顔の筋肉の発育を促し、強い顎をつくります。
 食べ物をよく噛むと、頭部の骨や筋肉が動いて血液の循環がよくなり、脳神経が刺激されて脳の働きが活発になります。歯が悪いと、固い物が食べられなかったり、栄養が十分に吸収できず、栄養バランスが崩れて、生活習慣病を引き起こす要因にもなります。
 丈夫な歯を残して、健康な生活を送るために、家族で正しい口内環境を整える習慣を身につけましょう。家庭での虫歯に対する意識の高まりや、学校でのブラッシング指導の効果で、子どもの虫歯は年々減少傾向にあります。歯を健康に保つ意識を持ち、今からできることを実行しましょう。
正しいブラッシングのポイント (1)前歯の表側…歯ブラシの毛先を歯と歯茎の間に45度の角度で押し当て細かく左右にブラッシング。 (2)前歯の裏側…歯ブラシを立てて、歯のくぼみに軽く当て、上下に小刻みに。 (3)奥歯の裏側…歯の裏側に歯ブラシを当て、前後に細かく動かす。 (4)噛み合わせ面…歯ブラシの毛先を噛み合わせ面のくぼみに当て、軽くブラッシング。